電気的な音楽信号を物理的な空気の振動に変換し、聴こえる状態に変換するユニットです。
カーオーディオにおいては、最終的に音楽を出力する音の出口となっています。
スピーカーには、高音を担当する「ツィーター」、ドアに取り付けられ中・低音を担当する「ウーファー」、低音を担当する「サブウーファー」などの種類があります。
この種類について詳しく説明すると長くなりますので、ここでは音の出口となるユニットがスピーカーであるということを覚えておいてください。
車で良い音を聴くための方法はいくつかありますが、その中のひとつが「スピーカーを良くする」ということです。
しかし、スピーカーを良くしようと思っても、どうすれば良くなるのか、何が良いのかわからない場合も多いでしょう。
そこでこのページでは、スピーカーを良くするための方法や得られる効果など、スピーカーを良くしたいと思ったときに参考になる情報をお伝えしていきます。
カーオーディオの音を「スピーカー」で良くするポイントは以下の3つです。
ただし、具体的にどんな機材を選ぶかは車種や音の好みによって変わってきます。ここでは一般的な考え方をお伝えします。
ポイントは以下の通りです。
1.スピーカーを変える
2.スピーカーを追加する
3.ドアの制振(デッドニング)をする
これらのポイントについては次から詳しく説明していきます。
スピーカーの交換とは、現在装着されているスピーカーをより高品質なものに取り替えることで音質を向上させる方法です。
具体的には、ドアに設置されているスピーカーやツィーターをそれぞれ性能の高いものに交換することです。
この高品質なものに交換することで得られる効果を3つご紹介します。
標準的なスピーカーから高品質なスピーカーへ交換することで、音楽信号の状態から耳に届く音へ変換する品質が向上します。
良い音がするスピーカーの定義は人それぞれですが、スピーカーを評価する一つの基準に忠実度があります。
音楽信号に対してどれだけ忠実に空気の振動(音)に変換できているか、ということです。
標準的なスピーカーは信号を音に変換することはできますが、忠実度はそれほど高くありません。
そのため、音が曇って聞こえたり、ボワっとした音に聞こえたりすることがあります。
その状態から高品質なスピーカーに交換することで、変換の忠実度が向上し、よりクリアで正確な音で音楽を楽しめるようになります。
スピーカーを交換することで、音の音色やバランスを変えて好みの音にすることができます。
正確には好みの音というより適切な音と言った方が良いかもしれません。
人にはそれぞれ好みの音色や音のバランスがあります。例えば食べ物で言うと、好みの味付けをされている料理は美味しく感じます。
同じように、音も好みの音色だったりバランスだと適切な音だと感じられます。
ですから、好みの音色を奏でるスピーカーや好みのバランスで鳴ってくれるスピーカーに交換することで、適切な音になったと感じることができます。
スピーカーを交換することで、音の再生帯域を拡大することができます。
音への変換品質と似た話になるかもしれませんが、車両に元々装着されている標準スピーカーは高性能なものではありません。
そのため、とても低い音やとても高い音を正しく音として鳴らせていません。
その状態から高品質なスピーカーに交換することで、より低い音や高い音を鳴らせるようになります。その結果、再生帯域が拡大します。
再生帯域を拡大することで、音源の再現度が高まります。その結果として、音質が向上するということになります。
・なぜ車のスピーカーを交換するのか?
・スピーカー交換をどこに依頼するのか?
・スピーカー交換を依頼するときの流れ など
についてお伝えしている記事が参考になるかと思います↓
初めて車のスピーカーを交換する人にとってはスピーカーの選び方は分かりづらいかと思います。
そう言った初心者の方向けにスピーカー選びの基準のようなものをお伝えしている記事になります↓
具体的な選び方ではないですが、選び方についてふわっと理解していただけるかと思います。
スピーカーを追加するということは、元々なかった場所に新しいスピーカーを設置するということです。
しかし、無計画にスピーカーを増やすのではなく、目的や問題点に応じて追加する場所やスピーカーの種類を選択する必要があります。
今回はフロント(前)のスピーカーに焦点を当てて、追加するスピーカーの種類と効果について3つご紹介します。
最初にツィーターを追加する場合について説明します。
ツィーターは小型のスピーカーで、高音を専門に鳴らすスピーカーです。
ツィーターを追加する効果は、高音が不足している時に現れます。
具体的には自動車メーカーが『2スピーカー』や『4スピーカー』と表記している場合に有効です。
これは、2スピーカーの場合にはフロントの左右に1つずつのスピーカーがありますが、それはドアにウーファー(中・低音を担当するスピーカー)が取り付けられているだけです。
そして4スピーカーの場合にはこのウーファーが前後に2つずつあるだけです。
つまり、高音を担当するスピーカーが存在しないため、高音不足になっています。
そこでツィーターを追加して高音を補うことで、低音から高音までバランスよく鳴らせるようになり、音質が向上します。
ツィーターを追加することで音を良くする。と簡単にお伝えさせていただきました。
もう少し詳しくツィーターについてお伝えしている記事になります↓
次にミッドレンジスピーカーを追加する場合について説明します。
ミッドレンジスピーカーはツィーターとウーファーの中間のサイズで、中音を得意とするスピーカーです。
ミッドレンジスピーカーを追加する効果は、中音を豊かに、美しくすることです。
ここで「中音はドアスピーカー(ウーファー)が担当しているのではないか?」と疑問に思われるかもしれません。
確かにウーファーは低音から中音まで担当していますので、中音も鳴らせています。
しかし、ウーファーは中音が得意ではないため、中音が乱れたり、薄くなったりしています。
そこで中音を得意とするミッドレンジスピーカーを追加することで、中音の質が向上します。
中音はボーカルが多く含まれる帯域ですので、その中音が良くなることで主にボーカルの存在感や美しさが増したりと、音質が向上します。
最後にサブウーファーを追加する場合について説明します。
サブウーファーは比較的大きなスピーカーで、低音を専門に鳴らすスピーカーです。特にドアスピーカー(ウーファー)よりもさらに低い音を鳴らすことができます。
サブウーファーを追加する効果は、ドアスピーカー(ウーファー)では十分に鳴らせなかった超低音を鳴らせるようになることです。
この超低音を鳴らせるようになることで、音楽全体に厚みが出てきます。
正直なところ、ツィーターを追加して高音を補うことに比べれば、サブウーファーを追加して低音を補うことは変化が目立たない部分もあります。
ですが、低音は音楽の土台となる部分ですので、土台をしっかりすることで低音以外の中音や高音の聞こえ方も変わってきます。
そしてサブウーファーを追加するメリットというより、適した方ですが、低音が好きな方です。
低音が好きな方はよくイコライザーなどで低音部分を強調されていますが、それよりもサブウーファーを追加することでより低く、より強い低音を鳴らすこともできます。
いずれにしてもサブウーファーの追加は目立たないかもしれませんが、確実に音質を良くしてくれることになります。
最後にドアの制振・デッドニングについてですが、こちらはスピーカーを変えることや追加するような直接的にスピーカーを良くする方法とは異なります。
直接スピーカーを良くするのではなく、スピーカーが良い性能を発揮できるように環境を整えてあげる作業となります。
ではどのような効果でスピーカーの環境を整えているのか、代表的なことを3つお伝えします。
まずは振動を抑制することについてですが、スピーカー(ウーファー)を取り付けているドアはいろいろな要因により振動しています。
エンジンの振動や走行振動もありますが、スピーカー自身の振動やスピーカーから発せられた音による共振などがあります。
この振動してしまうことは避けられないことなのですが、スピーカーにとっては振動は障害になります。
スピーカーは振動板を前後に動かして空気を動かすことで音楽信号を音に変換しているのですが、振動板が前後に動く際にその動きと同調する振動があれば予定より多く空気を押してしまうことになりますし、逆方向の振動だった場合には予定よりも少ない空気しか動かせなくなってしまいます。
どちらにしても予定通りになっていないということは目指した音を奏でていないことになり、音質が低下していると言えます。
そこで制振作業(デッドニング)を行うことで振動を抑制し、スピーカーが予定通りに動ける環境を整えることが重要となります。
また、物体が振動するとわずかですが、共振音を出してしまいます。
この共振音を狙って奏でることができれば良いかもしれませんが、基本的には意図せず発生します。
意図せず鳴っている音は本来の音の邪魔になりますので音質低下というよりはノイズになってしまいます。
そう言ったことを軽減するためにも制振(デッドニング)は良い音で聴くために重要な要素になります。
次に逆相音を減らすことについてですが、この内容を詳しくお伝えするとかなり長くなりますので簡単にイメージでお伝えします。
スピーカーは振動板を前後に動かして空気を動かし、結果として耳に音として認識できるようにしています。
振動板は前後に動いているのでスピーカーの表側と裏側はほぼ同じ音が鳴っています。
この裏側の音を逆相音と言ったりします。
この逆相音は表側の音とほぼ同じでもエネルギーとしては表側と反対のエネルギーを持っています。
仮に表側をプラスとした際には裏側はマイナスです。
この同じような音でエネルギーが逆の音が混ざり合うと、エネルギーを打ち消しあってしまい音が消えてしまいます。
実際には完全に無音になることはないですが、それでも大きくロスをしてしまいます。
打ち消し合いを起こしてしまう状況は決して望ましくないので、この打ち消し合いを減らすためにドアの制振(デッドニング)が効果があるのです。
最初に逆相音を減らすと言いましたが、正確には逆相音は減らせないので逆相音が表側に回り込むことを減らし、打ち消し合いを減らすことで音のロスを減らすことができ、スピーカーから発せられている音が耳に届きやすくなりますので、結果として音が良くなったように感じられるのです。
最後に過剰な音を抑制することについてですが、ドアスピーカー(ウーファー)はそれほど大きくないドアに取り付けられています。
狭いスペースでスピーカーを鳴らすと空気が動きにくくなったり、音の反射が起きやすかったりします。
それらが原因で音にピーク(部分的に音が大きくなる)が発生することがあります。
このピークは耳障りな音になることが多いので、ピークがある状態では良い音とは感じられにくくなります。
このピーク(過剰な音)を抑制するためにドア内部で吸音処理などを行い、音をコントロールします。
少し難しい対策になりますが、 ピーク(過剰な音)が発生している帯域を吸音する素材、材料を適切に設置することでピークの音が抑えられ、帯域のバランスが整ってきます。
ピーク(過剰な音)が抑えられるということは耳障りな音が減ることになりますので結果として音が良くなりやすい環境が作れることになります。
ただし、高音が不足していると感じている場合に低音の量感を増やしても効果が感じられないかもしれません。
また、低音の量感を増やしたとしても「目的と違う」と思われる可能性があります。
そこで、『不満点は何か?目標は何か?』を明確にすることが重要です。
カーオーディオに関して、音に関して上記のようなことを考慮することはあまりないかもしれませんが、不満点や目標が明確になれば、効果的な方法も見えてきます。
ぜひ効果的な方法を検討して実践してみてください。
カーオーディオの楽しみが広がりますよ!
特に不満点がなくても音質を向上させたいと思われている方は、最初に紹介した『スピーカーを変える』ことをお勧めします!