こちらのページではカーオーディオ基礎講座といった形でカーオーディオの基礎知識や用語解説などを行っております。
カーオーディオは専門用語が多く、分かりにくいことが多いと思います。
そういった分かりにくいことや、これからカーオーディオを始めようと思っておられる方が疑問に思うことなどを出来るだけ分かりやすくお伝えしていこうと思っています。
分かりやすくお伝えすることを目指していますので厳密にはちょっと違うところもあるかと思いますが、まずは大きなイメージをつかんでいただきたいと思っておりますので、そういう気持ちで見ていただけたら幸いです。
それでは早速始めていきましょう!
カーオーディオ基礎講座 第21回目のテーマは『ツィーターの取り付け位置や角度・調整についてちょっとした知識』です。
先日「ツィーターの取り付け位置や調整などはどのようにしたら良いですか?ツィーターがシャカシャカ言ったりキーンと鳴らないようにするにはどうしたら良いですか?」という質問をいただきましたのでこれについてちょっとお伝えしてみようと思います。
こういった取り付けだったり音質調整についての質問はよくいただくのですが、正直に申しまして「こうしたら間違い無いです」「これが絶対です」と言うものは無いと思っています。
と言うのが車の形状だったり車内特性、あとは取り付けるスピーカーやリスニングポジション。シートの角度なども違ってきますので全く同じ条件と言うのが無いからです。
ですので取り付け方は車やシートポジションによって変わってきたり、音質調整もスピーカーや取り付け方によって変わってきます。
その都度バランスを考えながら取り付けたり、音質調整を行ったりと、一言で言うとあまり好きな言葉では無いですが『ケースバイケース』と言うことになります。
ですが、『ケースバイケース』で終わらせてしまうと話になりませんので、今回のはその『ケースバイケース』を考える際に考えていること、基本としていることを少しずつにはなりますがお伝えしてみようと思います。
ちょっと前置き長くなってしまいましたが、まず最初にツィーターの取り付け位置についてお伝えします。
ツィーターの取り付け位置ということですので、取り付けるスピーカーはセパレートタイプになると思います。
このセパレートタイプのスピーカー、ウーファーユニットはドアに取り付けられていることがほとんどですのでウーファーユニットの取り付け位置は固定となります。
それに対してツィーターというのは小型ということもあり、取り付け位置をある程度自由に選ぶことが可能です。
そのツィーターの取り付け位置を決める際に基本としていることの1つが『距離差』です。
この『距離』というのは『リスナーの頭の位置からドアスピーカーまでの距離と頭の位置からツィーターまでの距離の距離差』です。
この距離差が出来るだけ少なくなる場所へツィーターを取り付けるようにしています。
最近では音像を上に上げてくるためにツィーターをダッシュボード上に取り付けることが多くなっていますが、その場合だと車によってはこの『距離差』ほぼ無い場所へツィーターを取り付けることが出来る場合もありますし、どれだけ頑張ってもかなりの『距離差』が出来てしまう車もあります。
ですので、全く『距離差』が無い場所を探すというよりは出来るだけ『距離差』が少なくて済む場所を探して取り付けを行う。という感じになります。
1つ補足(というほどでも無いかもしれませんが)、ほとんどの車でこのツィーターとドアスピーカーの『距離差』を少なく出来るツィーターの取り付け場所があります。
それが「キックパネル」です。
キックパネルとは足元にあるパネル部分のことですが、このキックパネルにツィーターを取り付けるとほとんどの車で先ほどからお伝えしている『距離差』が少なくなりやすいです。
ちなみにキックパネルにツィーターを取り付けるというのは15年から20年ぐらい前には結構多く見られる取り付け場所でした。
理由としては『距離差』が少なく出来るということと、タイムアライメント機能がまだなかった、または希少な機能だったからだと思います。
あとはキックパネルにツィーターを取り付けた際のメリットとしてツィーターとドアスピーカーの距離が違くなるということもあります。
ツィーターとドアスピーカーは離れた場所に取り付けるより近い位置に取り付けた方が音のバランスだったり、音のつながりが良くなるというメリットがあります。
ただ、キックパネルは足元ですのでツィーターとドアスピーカー、両方とも足元にあると音が足元からしか聴こえないようになり音が聴こえる高さが不自然になってしまう。というデメリットがあります。
なので、やはりどういった車なのか、何を重視するのか、どこでバランスをとるのか、ということでツィーターの取り付け位置を決めていくようになります。
次にツィーターの角度・向きについてですが、
ツィーターは高音を鳴らしているスピーカーになります。
高音というのは指向性・直進性が強いと言われています。
指向性・直進性が強いというのは一方方向にまっすぐ進む力は強い。または横に広がる力が弱いということになります。
なので右を向いていれば右に音が進んでいき、左を向いていれば左に音が進んでいく。ということになります。
ツィーターの角度・向きについて考えるときにはこの指向性・直進性の特性について覚えておいてください。
ではツィーターが鳴らしている音はこの指向性・直進性が強いのであればツィーターはリスナーに向けることが1番良いのでは無いか、1番音が届くのでは無いか、という考えになると思います。
理屈としてはリスナーに向けることが正しいのですが、カーオーディオでそのように角度・向きを設定するとどうしてもツィーターの音・高音が強くなりがちです。
具体的には高音が「キーン」となったり、よく言われるのが女性ボーカルのサ行(サシスセソ)が耳に刺さるようになったりしまします。
では自分の方を向けると高音が強くなるのだったら違う方向を向けたら良いのか?となると思いますが、違う方向を向けてしまうと今度は高音が聴こえない・聴こえづらい。ということになります。
なので今のところ無難(と言うと聞こえは悪いかもしれないですが)バランスが良いと感じているのが『運転席と助手席の真ん中ぐらい・その辺を目指すような角度』です。
もちろんこの向きもどのツィーターでもベスト!というわけでは無いです。
というのが、ツィーターは指向性・直進性が強いと先ほどお伝えしましたが、ツィーターの設計によってとても指向性・直進性が強い物から、指向性・直進性が比較的弱いもの、音が広がりやすい物まであります。
ですので『運転席と助手席の真ん中ぐらい』がベスト!というわけではなく、そこを基準にしてもらいながら考え、選んで貰ったらと思います。
最後にツィーターの音質調整についてですが、
これもDSP・デジタルプロセッサーが取り付けられていればかなり豊富な音質調整ができますし、逆に純正オーディオプレーヤーや純正ナビゲーションだとすればそれらに内蔵されているわずかな音質調整機能とパッシブクロスオーバーに内蔵されている音質調整機能に限られてしまいます。
DSP・デジタルプロセッサーでの音質調整の話までしてしまうとかなり幅が広く、難しい内容になってしまうので、今回はパッシブクロスオーバーに限った調整をお伝えいたします。
その前にパッシブクロスオーバーの中でも調整機能が豊富なものと少ないものがあり、中には全く調整機能が付いていないものもあったりします。
ですが、パッシブクロスオーバーのなかで1番多いパターンとしては、ツィーターのレベル調整(音量調整)だけが内蔵されているタイプです。
そのレベル調整の種類としては0dB・−3dB・−6dBや+2dB・0dB・−2dBなど3択選べるものが多いです。
ではこのレベル調整のやり方ですが、
音楽を鳴らした際に高音がうるさければレベルを下げる。高音が少ない、こもったような音ならレベルを上げる。というやり方でほぼ正解です。(選択肢のスタートは0dBまたは3択の真ん中から始めると良いと思います)
あとは少し違った調整の仕方として、ツィーター配線を抜いてドアスピーカーのみで音楽を鳴らし聴いてみる。というやり方もあります。
このやり方をするとドアスピーカーがどこまでの帯域を鳴らしているのかがわかりやすくなりますし、その状態を覚えたところからツィーターを鳴らすことでドアスピーカーに対してツィーターのレベルが大きいのか小さいのかということが判断しやすくなります。
このやり方でのポイントはドアスピーカーが鳴らしていた低音から中音までの音のエネルギーに対してツィーターの高音のエネルギーが適正なのか、強いのか、弱いのか、というところを聴きとるところです。
ツィーターが強ければボーカルの声が上擦ったように聴こえたりします。
そしてツィーターが弱ければボーカルの声がこもったように聴こえたりします。
上記のようにツィーターを鳴らした時の感じ方でレベルを合わせていくようになります。
音質調整を行う際にすごく大事な要素があります。
それが『位相』と言われる物です。
『位相』の話を詳しくしていくと難しくなりますのでここではすごく簡単な表現をしますが、『位相」とはツィーターに接続するスピーカーケーブルがどのようにつながっているかで2つ別れます。
スピーカーケーブルが正しく接続されている状態を『正相』
あえてプラスとマイナスが逆に接続されている状態を『逆相』と言います。
本当は細かく言うと少し違うのですが、大まかに表現すると上記のようになります。
このツィーターの『位相』が『正相』のときにドアスピーカーとツィーターの音の繋がりが良くなる時と、あえて『逆相』にしたときに音の繋がりが良くなる時があります。
なのでスピーカーケーブルの接続を切り替えながらツィーターとドアスピーカーの音の繋がりが良い状態はどちらか、というのを判断する必要があります。
ただ、ほとんどの場合が100%音の繋がりの良い方。全く音が繋がらない方。といったようにはっきりわかりやすい状態にはならず、60%程度音の繋がりが良い、40%程度音の繋がりが良い。みたいに微妙な状態になることがあります。
そうなってしまうと判断がすごく難しくなりますが、よくよく判断をすればどちらかの方がわずかでも繋がり良いことがほとんどですので聴き比べて判断するようになります。
後はちょっと注意点ですが、ツィーターの『位相』を切り替える際には基本的に左右同じ『位相の状態』にしてください。
右のツィーターだけ正相で左のツィーターは逆相。みたいにはならないようにしてください。
その状態で結果的に良い音になることもあるかもしれませんが、ほとんどの場合バランスが崩れます。
なので右が正相なら左も正相という接続にしてください。
最後に、スピーカーケーブルを逆に繋いでツィーターが壊れたりしないか?と心配される方がおられますが、基本的に壊れることはありません。
スピーカーに流れている音楽信号は交流信号ですので交流信号の場合、基本的にプラスとマイナスが入れ替わっても壊れることはありませんので大丈夫です。
ツィーターの取り付け位置・角度・調整に関しての話を簡単にお伝えしますとこのようになります。
どうしてもこの取り付け位置・角度・調整に関しては知識と経験が必要になります。
知識はネットなどを使ってある程度集めることは出来ますが、経験は場数を踏むしかないんじゃないかなと思ってます。
なので今回お伝えしたことを100%理解していたとしてもそれがきっちり実践出来るかはわかりませんが、一つの参考・知識として入れてもらえたらと思います。
今回のように取り付けや調整に関しては『ケースバイケース』になってしまうことが多いですのでなかなかお伝えすることが難しいので今後、多くはやらないとは思いますが、今回の内容が面白かった、タメになったという方は次回も見ていただけると嬉しいです(^^)
文字を読み込んでいくことが苦手な方のために動画も用意しております。
内容はほとんど同じとなっておりますが、よければこちらもご覧ください(^^)