こちらのページではカーオーディオ基礎講座といった形でカーオーディオの基礎知識や用語解説などを行っております。
カーオーディオは専門用語が多く、分かりにくいことが多いと思います。
そういった分かりにくいことや、これからカーオーディオを始めようと思っておられる方が疑問に思うことなどを出来るだけ分かりやすくお伝えしていこうと思っています。
分かりやすくお伝えすることを目指していますので厳密にはちょっと違うところもあるかと思いますが、まずは大きなイメージをつかんでいただきたいと思っておりますので、そういう気持ちで見ていただけたら幸いです。
それでは早速始めていきましょう!
今回はスピーカーとパッシブクロスオーバーの組み合わせについてお伝えしていこうと思います。
前回、ツィーターとウーファーの組み合わせについてお伝えしたのですが、よく考えてみたらお伝えしている内容がデジタルクロスオーバーネットワークを使ったマルチ接続前提の感じでお伝えしていたかと思います。
なので今回はデジタルクロスオーバーではなくてパッシブクロスオーバーネットワークについての内容を、難しい話や細かなところはとりあえず抜きにして、簡単なところをさらっとお伝えしていきます。
まず、前回お伝えした内容なのですが、ツィーターとウーファーの組み合わせを変えてみる。
違うブランドだったり違うグレードの組み合わせにしてみる。ということをお伝えしました。
その内容と似たところでツィーターとウーファーはそのままで、パッシブクロスオーバーを違うブランドのものや違うグレードのものに変えてみる。ということがあります。
具体的には、あるブランドのエントリークラスのスピーカーセットを使っていたとして、パッシブクロスオーバーだけそのブランドのミドルクラスだったり、フラッグシップモデルのものを使ってみる、組み合わせてみる。ということです。
そのパッシブクロスオーバーを違うスピーカーのものと入れ替えること自体をどうこう言うわけではないのですが、入れ替える際の注意点、みたいなところをお伝えしていきたいと思います。
まずツィーターとウーファーの既存の組み合わせに違うブランドだったり違うグレードのパッシブクロスオーバーを組み合わせるときに気になることがいくつかあると思いますが、
1.パッシブクロスオーバーを入れ替えてきちんと音が鳴るのか?
2.スピーカーやパッシブクロスオーバーが壊れないのか?
3.音質的にどうなのか?
と言った3つのポイントが気になるのではないかと思います。
まずはこの気になるポイントを1つずつ簡単にお伝えしていきます。
1つ目の『パッシブクロスオーバーを入れ替えてきちんと音が鳴るのか?』についてですが、
これに関しては正直ケースバイケースです。
スピーカーに対してパッシブクロスオーバーをきちんと選んでないときちんと鳴らない。と言うことはあり得ます。
このきちんと選ぶ、と言うところをお伝えすると長くなりますので後ほどお伝えします。
2つ目の『スピーカーやパッシブクロスオーバーが壊れないのか?』についてですが、
これも適切なパッシブクロスオーバーを選ばないとスピーカー、特にツィーターが壊れてしまう可能性があります。
ウーファーやパッシブクロスオーバーは多少選択を間違えていたとしても壊れるケースはなかなか無いので気にするポイントはツィーターになります。
これについてもお伝えすると長くなりますので後ほどまとめてお伝えさせていただきます。
最後に3つ目の『音質的にはどうなのか?』についてですが、
スピーカーに対してきちんと対応しているパッシブクロスオーバーを選べば、グレードを上げた場合には音質が良くなる可能性があります。
と言った感じで3つのポイントとも『きちんと選ぶ』と言うことが条件になってしまいます^^;
と言うことで次に『きちんと選ぶ』ポイントや理由などをお伝えしていきます。
まずは『きちんと選ぶ際のポイント』ですが、
1.クロスポイント
2.スピーカーのインピーダンス
3.ツィーターとウーファーの能率差
この3つをポイントとしてパッシブクロスオーバーをきちんと選んでいただいたら、間違いの少ないパッシブクロスオーバー選びが出来ると思います。
まずはクロスポイントについてですが、
クロスポイントとはツィーターとウーファーの音が入れ替わるポイントと言いますか、交わるポイントみたいな物なのですが、
このクロスポイントが今まで使っていたパッシブクロスオーバーが4kHzのものだとしたら新しく取り付けるパッシブクロスオーバーも同じ4kHzのものを選ぶようにしてください。
違うクロスポイントのパッシブクロスオーバーを組み合わせるとスピーカーが本来の能力を発揮出来なくなったり、最悪スピーカーが壊れてしまう可能性があるからです。
このクロスポイントについては流石にパッシブクロスオーバーを入れ替えようと思われる方にとっては常識の範囲かもしれませんが、意外と見落としがちなのが2つ目のスピーカーのインピーダンスです。
と言うことでスピーカーのインピーダンスについてですが、
同じ4kHzがクロスポイントのパッシブクロスオーバーを2種類用意したとします。
その2つはクロスポイントが同じ4kHzでも1つは4Ωのスピーカー用に設計されたもの。もう1つは8Ωのスピーカー用に設計されたものだとします。
この2つのパッシブクロスオーバーを入れ替えて接続した場合には同じ4kHzがクロスポイントと表記されていても実際のクロスポイントは違う周波数に変わってしまうことがあります。
なのでスピーカーのインピーダンスもきちんと選ぶ際のポイントになるのです。
なんだかややこしい話なのですが^^;
その理由を少しお伝えしますと、
パッシブクロスオーバーはコイルとコンデンサーで作られてます。
この二つを組み合わせることで基本的にはクロスオーバーを形成しています。
ただ、このコイルとコンデンサーは接続するスピーカーのインピーダンスによって作用の仕方が変わってしまいます。
具体的には4Ωのスピーカーに対して4kHzのクロスオーバーをかけるコイルをそのまま8Ωのスピーカーに接続するとクロスポイントが8kHzに変わってしまいます。(全てのケースで必ずそうなるわけでは無いのでイメージとして考えてください)
仮にツィーターが4Ω、ウーファーが4Ωのスピーカーの組み合わせに組み込まれてる4kHzパッシブクロスオーバーをツィーターが8Ω、ウーファーが8Ω のスピーカーの組み合わせに接続するとクロスポイントがずれてしまいます。
なのでクロスポイントが4kHz同士のパッシブクロスオーバーだから大丈夫だろう、という思いで入れ替えてしまうと、全く思ってなかったところにクロスポイントが来てしまうことがあります。
クロスポイントが変わってしまうとある意味きちんと鳴らせていない。ということにもなると思いますのでスピーカーのインピーダンスはきちんと見ていただきたいポイントになります。
なのでパッシブクロスオーバーを違うものに入れ替える際にはスピーカーのインピーダンスは今使っているスピーカーと同じインピーダンス、今4Ωのスピーカーだとしたら新しく持ってくるパッシブクロスオーバーも4Ωのスピーカーで使われているものを選ぶのが間違いが少ない選び方になります。
この通りにしないといけないことは無いですが、インピーダンスは合わせていた方が安全な選び方になります。
もちろんクロスポイントが同じで、なおかつインピーダンスも同じ。というのが一番無難な選び方になりますが。
最後の選ぶポイントとして『ツィーターとウーファーの能率差』があります。
能率とはある信号の大きさでどれだけの大きさの音量を鳴らすのか、という数字になります。
そしてこの能率は各スピーカーで違いますし、ツィーターとウーファーで違うものもあります。
なのでツィーターとウーファーで能率差がある場合にはその能率差を補正するようにパッシブクロスオーバーは設計されています。
具体的にお伝えすると、ツィーターが90db。ウーファーが88db。 の能率の2wayスピーカーがあるとします。
そうするとツィーターとウーファーの間には2dbの能率差があります。
その能率差を埋めるためにパッシブクロスオーバーにはツィーターの音量を2dB下げるアッテネーターが組み込まれています。
そうしてツィーターとウーファーの能率を揃えて適切な音量で各スピーカーが鳴るようになっています。
では次に先程の2dBの能率差があるスピーカーの組み合わせに新しくツィーターとウーファーの能率差が無い組み合わせに使われているパッシブネットクロスオーバーを取り付けたとします。
そうすると基本的には新しい方のパッシブクロスオーバーにはツィーターとウーファーの能率差を埋めるアッテネーターが入ってませんのでツィーターの方がウーファーよりも大きな音で鳴ってしまうます。
そうすると高音と低音のバランスが崩れてしまいますのであまりよろしい状態とは言えなくなります。
なのでツィーターとウーファーの能率差も選ぶポイントの1つとなります。
ただ、先程お伝えした能率差を埋めるアッテネーターは通常の能率差を埋めるためのものになります。
パッシブクロスオーバーには取り付け方による聴感上の能率差を補正するために可変式のアッテネーターが装備されているものが多いです。
なのでこの可変式のアッテネーターを使って通常の能率差を補正することも可能だったりはします。
ただ、この可変式のアッテネーターは通常の状態で能率が揃っている前提となりますので、通常の状態で能率差が大きかったり、想定されているものと違う場合には補正しきれなかったりします。
そして通常の状態で補正が出来たとしても実際に取り付けた際には能率さが補正がしきれなくなることもあります。
なのでできればスピーカーの能率、ツィーターとウーファーの能率差も選ぶポイントとして見ていただくと、より確実なパッシブクロスオーバー選びが出来ると思います。
ただ、全てのスピーカーでツィーターとウーファーの能率が表記されているわけでは無いので可能であれば調べて、合わせる。という程度に考えておくと良いと思います。
細かなことをいうともう少しあったりはしますが、ここまでがパッシブクロスオーバーをきちんと選ぶということ、そのポイントについての内容でした。
なのでお次は『スピーカーやパッシブクロスオーバーが壊れないのか?』というところをもう少しだけお伝えします。
パッシブクロスオーバーを選ぶポイントをお伝えさせていただいたのでなんとなく壊れるのか、壊れないか?というところはお分かりいただけるかと思いますが、適切なパッシブクロスオーバーを選んでいただけたらスピーカーもパッシブクロスオーバーも壊れることはありません。(もちろん物ですので無理な使い方などをされたら壊れますが^^; )
あえて壊れてしまうパターンの話をしますと、一番壊れる可能性があるのはツィーターです。
具体的に壊れるパターンとしては、例えば8kHzから上の帯域で鳴らすように設計されているツィーターがあったとして、付属のパッシブクロスオーバーでは8kHzのクロスオーバーをかけているとします。
そこに2kHzでクロスオーバーをかけて鳴らすパッシブクロスオーバーを接続するとツィーターの想定よりも低い周波数の信号が流れてくることになりますので、ツィーターの負担が大きくなり、音が歪んだり、ひずんだり、最悪壊れてしまうことになります。
まぁ、きちんとパッシブクロスオーバーを選んでいただいたらまず起きないことだとは思いますが。
最後にパッシブクロスオーバーを入れ替えた際の音質についてですが、
一概には言えないですが、エントリークラスに付属しているパッシブクロスオーバーよりミドルクラスミドルクラス。そしてフラッグシップの方が音質が良くなる傾向になります。(もちろんクロスポイント等きちんと適切である前提ですが)
それはエントリーよりミドルクラス。ミドルクラスよりフラッグシップの方が中に使われているコイルとコンデンサーが質の良いものが使われているからです。
パッシブクロスオーバーの音質(パッシブクロスオーバーに音質という定義があるかは微妙なところですが)や良し悪しを決める要素として、
1つが『パーツとして使われているものコイルとコンデンサーの質』
あともう1つが『スピーカーに対する設計のうまさ』というのがあります。
この二つが大きな要素になります。
なのでエントリークラスよりミドルクラス。ミドルクラスよりフラッグシップのパッシブクロスオーバーの方が音質が良くなりやすい傾向にあります。
ただパッシブネットワークは2つ目の要素のように組み合わせるスピーカーのバランスなどを色々考えて作っているので、あるブランドのフラッグシップのパッシブクロスオーバーがいくら質の高いコイルとコンデンサーを使っていたとしても全く違うタイプのスピーカーに組み込んでしまうとバランスが崩れて、思ったような音が鳴らない。ということもありますのでコイルとコンデンサーの質も大事ですがやはりスピーカーにあったのも選ぶことが重要になります。
と言った感じでパッシブクロスオーバーについて軽くお伝えするとこんな感じになります。(軽くの範囲では無いかもしれませんが・・・)
とにかくスピーカーに対して選ぶパッシブクロスオーバーはバランスが取れているもの。
最低限インピーダンスとクロスポイントが同じ物を選んで取り付けをすればパッシブクロスオーバーを入れ替えるというのは面白い遊びになると思います。
本来はそのメーカーがツィーターとウーファーに対して適切な設計したパッシブクロスオーバーを組み合わせるのが一番そのメーカーが思い描いた音になります。
ただパッシブクロスオーバーを入れ替えることによって音は変わるので、もしかしたらメーカーが思い描いてる音じゃない方が自分とってのベストな音だったり、とてもいい音になる可能性はありますので、一つの遊びとしてやってみるのは面白いと思います。
パッシブクロスオーバーで本格的に遊んで行こうと思うと、違うスピーカーのパッシブクロスオーバーを持ってくると言うよりかは自分でパッシブクロスオーバーの回路を設計して、コイルとコンデンサーを選んでパッシブクロスオーバーネットワークを作っていくということになると思います。
ただこれもある程度の知識だったり経験。あとは『感』も必要になったりするので難しいところだと思います^^;
あとはデジタルクロスオーバーみたいに「クロスポイントをちょっと変えてみよう」と思った時にはボタン1つで変更できるわけではなく、新しくコイルやコンデンサーを用意して組み替えをする必要があります。
なのでパッシブクロスオーバーを突き詰めていこうと思うと想像以上にお金のかかる遊びなのでちょっと気合を入れて挑まなければならなくなります。
まずはパッシブクロスオーバーを変えるとどうなるのかな?と興味がある場合は既存の物の中から選んで組み替えるということが近道になります。
その際には無難な選択の仕方として、同じブランドの中で一つグレードを上げてみる。
エントリークラスのスピーカーを使っているのであればミドルクラスのものであったり、ハイエンドの物を選んでみて、後はそのスピーカーのスペックだったりインピーダンスなどを見ながらこれなら使えそうだな!というものを使う風になると思います。
ちょっと今回まとまりがない感じの内容になってしまったかもしれないですが、スピーカーとパッシブクロスオーバーネットワークの組み合わせについて、というよりかはパッシブクロスオーバーを入れ替える際の注意事項だったり、もし入れ替えをしたいのだったら気をつけるべきポイントをお伝えさせていただきました。
今回の内容がが面白かったなと思われた方はまた次回も見ていただけると嬉しいです(^^)
文字を読み込んでいくことが苦手な方のために動画も用意しております。
(内容は当ページとほとんど同じとなっておりますが、お伝えする順序が多少前後しています)